松下: 姫路に液晶新工場建設、3000億円を全額負担
2008年 02月 15日 20:45 JST
*液晶メーカーの設備増強の動向などを追加しました。
[東京 15日 ロイター] 松下電器産業(6752.T: 株価, ニュース, レポート)は15日、2007年度中に子会社化するテレビ用液晶パネルメーカーのIPSアルファテクノロジ(千葉県茂原市)が、兵庫県姫路市で液晶パネルの新工場を建設すると発表した。投資額は約3000億円で、松下が全額を負担する。今年8月に着工、2010年1月の操業開始を予定している。
新工場は、出光興産(5019.T: 株価, ニュース, レポート)の兵庫製油所跡地(約48万平方メートル)に建設する。「第8世代」と呼ばれるガラス基板を使用し、2010年度に32型テレビ換算で年間700万台、2013年度に同1500万台のパネル生産能力とする。
松下は、主力のプラズマテレビでは基幹部品のパネルからテレビまでを一貫生産する垂直統合型の事業形態を確立しているが、液晶は、現時点では30%の出資にとどまるIPSアルファを中心に複数のパネルメーカーから外部調達している。会見した松下の森田研・常務役員は、自前の液晶パネル工場を持つことで、「プラズマだけでなく液晶でも垂直型のビジネスを展開し、薄型テレビ事業を強力に推進する」と述べた。
IPSアルファへの現在の出資比率は、松下の30%のほか、日立製作所(6501.T: 株価, ニュース, レポート)の全額出資子会社、日立ディスプレイズが50%、東芝(6502.T: 株価, ニュース, レポート)が15%などとなっている。松下は東芝保有の15%を買い取る予定で、今年3月末にIPSアルファを連結子会社とする。また、2年以内に日立ディスプレイズが保有するIPSアルファ株式を660億円で取得する。その際、日立製作所は10%を上限にIPSアルファ株を保有することを検討するとしている。
IPSアルファの2007年3月期の業績(単体)は売上高が346億円で、営業損益は253億円の赤字。「第4・四半期(08年1─3月期)は確実に黒字化できる」(森田常務)としている。
<液晶上位メーカーに対抗できるか>
液晶パネル業界では、上位メーカーの設備増強計画が相次いでいる。テレビ用など大型液晶パネルで世界シェア5位のシャープ(6753.T: 株価, ニュース, レポート)(米ディスプレイサーチ調べ)は、堺市に液晶パネル工場(2010年3月までに稼動予定)を建設中。面積が第8世代の1.6倍となる第10世代のガラス基板を使い、ピーク時に42型テレビ換算で年間1300万台の生産能力を持つ。
大型液晶パネル世界最大手の韓国サムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)は、2008年に液晶関連の設備投資で前年比倍増を計画。同2位の韓国LGフィリップスLCD(034220.KS: 株価, 企業情報, レポート)は前年比3倍の設備投資を計画し、同3位の台湾の友達光電(AUO)(2409.T: 株価, ニュース, レポート)は8.5世代のパネル新工場の計画を打ち出している。
上位メーカーの追い上げについて、森田常務は、IPSアルファが作る独自方式のパネルは原理的に材料費や工場投資が安くできるメリットを挙げ、「(先行メーカーとの)コスト差を上回る材料費、固定費の低減が可能で、十分に対抗できる」と強調した。
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