[東京 21日 ロイター] シャープ(6753.T: 株価, ニュース, レポート)と東芝(6502.T: 株価, ニュース, レポート)は21日、液晶パネルと半導体分野で提携すると発表した。シャープは東芝向けにテレビ用液晶パネルを、東芝がシャープ向けに液晶テレビ用システムLSI(大規模集積回路)を供給する。
液晶に強いシャープ、半導体に強ぴ芝が相互補完し、競争が激化する薄型テレビ事業での勝ち残りを目指す。東芝は、日立製作所(6501.T: 株価, ニュース, レポート)、松下電器産業(6752.T: 株価, ニュース, レポート)とのテレビ向け液晶での共同生産から離脱する。
2010年度には、東芝は32型以上の液晶テレビに搭載する液晶パネルのうち40%分はシャープから購入。シャープは液晶テレビ用システムLSIの約50%分を東芝から調達する。現在、シャープは東芝から液晶テレビ向けに画像処理用のシステムLSIを調達しているが、来年度から相互供給を本格的に拡大する。
東芝は現在、日立、松下と共同出資するテレビ向け液晶パネルメーカーのIPSアルファテクノロジ(千葉県茂原市)や韓国のLGフィリップスLCD(034220.KS: 株価, 企業情報, レポート)から主に液晶パネルを調達しているが、提携により2010年度以降はシャープからの調達が主体となる。
シャープの片山幹雄社長と東芝の西田厚聡社長は21日、都内で記者会見した。西田社長は会見で、シャープとの提携では「第10世代パネルへの大きな期待がある」と語った。シャープは大阪府堺市で、2010年3月稼動に向け液晶パネル新工場を建設中で、大型液晶テレビを効率的に生産できる「第10世代」と呼ばれる大型ガラス基板を使う。西田社長は、堺工場で量産予定の、薄型で消費電力の少ない液晶パネルを高く評価しているという。
西田社長はまた、次世代ディスプレーの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を搭載したテレビについては2009年度としていた商品化の見送りを正式に表明。有機ELは当面は中小型に注力し、次世代テレビは「シャープの液晶を中心に考える」と述べた。
片山社長は「デジタル家電ではLSIは必要不可欠なデバイスだが、今後、微細化が進み巨額の設備投資が必要になる。東芝は世界有数の半導体メーカーで高画質化処理で高い技術を持つ」と提携の狙いを語った。現在、シャープと東芝は液晶パネルとシステムLSIを含め年間で700億─800億円規模の取引があるが、今回の提携を契機に将来は3倍以上に増やしていくとしている。西田社長は「1社ですべてを持つことは困難。(液晶と半導体で)強いもの同士が組んでいくのは必然」と述べた。
堺工場建設でシャープは3800億円の巨費を投じる。同工場のピーク時では、42型の液晶テレビ用パネルが年間で1300万枚取れる。シャープの2007度液晶テレビ販売見込み数は900万台。新工場が高い稼働率で操業するには、外部の液晶テレビメーカーに長期、安定的にパネルを供給するルートを確保する必要があった。片山社長は東芝以外からもパネル供給の要請があれば歓迎する意向を示した。